下野 直人(昭和51年卒)
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皆さまご無沙汰しています。9月に90周年記念行事に出席して、ホッケー部の集まりにはずいぶん足が遠のいていたので、久方ぶりにお会いする先輩方や昔の仲間のことをとても懐かしく感じました。OB戦を観戦してホッケーの楽しさを思い出すこともできました。最近ホッケー部には女子部もでき、男子部も多くの部員を抱えて元気に活躍しており、まさに盛況の日を迎えている感がありうれしい限りです。
振り返ってみると、私が入部したのは学園紛争の混乱がほぼ収束しかけた時で、それが部活動とどう関係したのか私には判然としませんが、つい数年前まで京大ホッケー部の存在を高からしめていた47、48年卒の多くの先輩たちが去り、1チーム組むのも苦しいところまで部員数が減ってしまいました。このような状態でキャプテンとして部を率いた49年卒の徳田さん、50年卒の吉岡さんなどが非常に苦労をされた時期でした。当時はまだ大学に残っておられた山下さんや田中さんはじめOBの先輩方が毎日のように練習に参加していただいて、ようやくフォーメーション練習ができるといった状況でした。90周年記念総会で大東先生などが部の歴史を詳しく説明してくださって知った事ですが、その当時もそれ以後も何度かあったホッケー部盛衰の黄金期の一つが過ぎた谷間の時期であったのです。しかしながら谷間の時期にはその時期にふさわしい風貌をもった人が集まってくるもので、みんなどこか哲人を思わせる雰囲気をもち、個性的で意思の強いメンバーがそろっていたように思います。部を維持発展するためにもいろんな人材を受け入れては皆で何とか引き止めて、1年か1年半在籍してくれていた部員が何人もおり、今も面影が心に強く残っています。転機が訪れたのは53年卒の白須君などのメンバーが入部してきた頃からです。この年は多くの新人が入部し、またメンバーにはやんちゃな人が多くいて部の雰囲気が大きく変わった時でした。スポーツや組織活動などは、元気で少々バカをやるような雰囲気の方が結果を残せるものですが、まさにそんな感じでした。また翌年も多くの新人が入部し、その年には念願の1部に昇格できました。1シーズンだけ1部でプレーできたのですが、残念ながらすぐに2部に降格してしまいました。
自戒の念を込め、当時の反省から現部員の方にも参考になることがあるとしたら、当時は下半身の強化を中心にして腹筋以上の上半身の鍛錬をおろそかにしていました。そのため速さ強さが欠けていたのだと思います。スポーツの基本は速さと強さしなやかさです。今年のオリンピックホッケーの試合を見るにつけその思いを再確認しています。
もうひとつ現役の人にお願いしたいのは、ホッケーは危険な競技だということを常に忘れないで欲しいということです。何かあれば大怪我になります。私の経験を例にとると高校時代のホッケーの先輩が試合中に事故死するという悲劇を経験しました。また私の不注意で後輩の顔に数針のけがを負わせたことがありますし、自身も救急車で2度運ばれたこともあります。特に女子部のメンバーにはくれぐれも注意をしていただきたいと思います。練習中の防具も工夫できるところがあればぜひ実施してください。
最後に現在の部員数をみるにつけ思うのは「数は力」という言葉です。まもなく必ず強くなる。そう確信できた創部90周年記念大会でした。