部 長 片桐 英郎
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本學にホッケーチームの組織成りて以來滿十年、ホッケー部として學友會に編入せらしより滿八年に及べり。
今や関西の重鎭として覇を天下に唱へんとする意氣軒昂なる秋、既往を追想すれば誠に苦節十年の感に堪えざるものあり。
創設より學友會への編入に至る揺籃時代は素より昭和五年頃迄即ち部史の全半に印せらたる敗戦の苦盃を重ねし當時の部員諸氏の努力は想像に餘ありと謂ふべし。
昭和六、七年以降の善戦の成績も斯かる苦境時代に培養せられし部員相互の團結心と不斷の健闘の賜に非すして何ぞや。
由來共に技を練るべき球友に乏しき地に位し加ふるに過去十年に亘り我部に席を占めしもの總計僅かに四十名、年々メンバーの募集に汲々たりし去る八ヶ年の跡を顧る時この十周年史は眞に積極的の健闘史と解し得らるべし。
第十一回オリンピック大會を目前に控へて我國ホッケー界の精進すべきの秋、我部も内容の充實を圖りて躍進日本の潮流の源泉たらんことを期するものあり、正に苦節十年の成果を収むべき時代に當面せりと雖も過去の歴史を播きて先輩諸氏の極めて有意義の體験を深く脳裏に刻し以て團結心と不斷の健闘との貴重なる傳統を層一層培養し更に今後の發達を期すべきなり。